リサイクル・マガジン

資源工学分野で役立つかもしれないワードを紹介していきます。

凝集剤についてと、凝集条件を見つける方法(令和元年度資源工学Ⅱー1-2)

令和元年度資源工学Ⅱ-1-2

 凝集剤とは、水中に分散した微粒子を凝集させて沈

殿しやすくするために添加する化学物質のことである。

凝集剤には無機凝集剤と有機凝集剤の2種類がある。

無機凝集剤は主に金属塩やポリ塩化アルミニウムなど

であり、有機凝集剤は主にポリアクリルアミドやポリ

エチレンイミンなどである。凝集剤の種類や量は、水

質や微粒子の性質によって異なるため、適切に選択す

る必要がある。

 最適な凝集条件とは、凝集剤の種類や量、混合速度

や時間、pHや温度などが適切に調整され、水中の微粒

子が最も効率的に凝集し、沈殿しやすくなる条件であ

る。最適な凝集条件を見つける方法としては、ジ

ャーテストと呼ばれる実験を行うことが一般的である。

ジャーテストとは、水質や微粒子の性質を同じにした

複数の試料に対して、凝集剤の種類や量を変えて複数

の試験管に入れ、撹拌した後、沈殿させて水質を比較

する実験である。ジャーテストでは、撹拌速度や時間、

静置時間なども変化させて比較することができる。ジ

ャーテストによって、最も良い水質を得られた試験管

の条件を最適な凝集条件として採用することができる。



乾式分級の原理、特徴及び留意点

令和3年度Ⅱー1-4

 乾式分級とは、気流中における粒子の力学的挙動の

違いを利用して、粒子の大きさに応じて分離する方法

である。乾式分級の原理は、気流中の粒子が、その質

量や形状によって、遠心力や流体抵抗などの力にさら

されることで、飛行軌跡が変わることを利用している。

例えば、遠心式気流分級機では、回転するロータから

噴出された気流に原料粒子を加えると、質量の大きい

粒子は遠心力によって外側に弾き飛ばされ、質量の小

さい粒子は吸引力によって中心付近に引き寄せられる。

このようにして、分級機から吸い出される微粒が含ま

れる気流と、粗粒に分離できる。

 乾式分級の特徴を次に述べる。水や溶剤などの媒体

を必要としないため、乾燥工程が不要であり、必要な

エネルギーやコストが低い。粉体の性質や品質が変化

しにくいため、高品質な製が得られる。分級機の構造

がシンプルであり、操作やメンテナンスが容易。

 一方で、乾式分級における留意点を次に述べる。 粉

体の凝集や付着が起こりやすい場合は、分散性能や回

収率が低下する可能性がある。粉体の摩耗性が高い場

合は、分級機の摩耗に注意する必要があります。分級

機の選定や設定には、粉体の特性や目的に応じた適切

なものを選ぶ。

災害廃棄物について(令和2年度8-2資源循環及び環境浄化Ⅱー1-4)

令和2年度8-2資源循環及び環境浄化Ⅱー1-4

 

 災害廃棄物とは、地震や洪水、火山噴火などの自然

災害によって発生した廃棄物のことである。災害廃棄

物の特徴は、発生量が多く、種類が多様なことである。

例えば、東日本大震災では約2,000万トンの災害廃棄物

が発生したと推定されている。また、災害廃棄物には、

木材やコンクリートなどの建築廃材や家具などの生活

廃棄物のほかに、土砂やがれきなどの土木廃材や、放

射性物質や有害物質を含む特殊廃棄物も含まれる。

 災害廃棄物を処理する上での課題は、以下のように

挙げられる。まず、①災害廃棄物の分別や仮置き場所

の確保が困難であることである。災害発生直後は、救

助活動やライフラインの復旧が優先されるため、災害

廃棄物の分別や仮置き場所の確保に十分な人員や資機

材が割けないことが多い。次に、②災害廃棄物の最終

処分場所の不足である。災害廃棄物は通常の産業廃棄

物や一般廃棄物と比べて発生量が桁違いに多いため、

既存の最終処分場では収容しきれないことが多い。そ

のため、新たな最終処分場を造成する必要があるが、

その場所選定や環境影響評価には時間とコストがかか

る。さらに、最終処分場の受け入れに対する地元住民

の反対も強いことが多い。最後に、③災害廃棄物のリ

サイクルや再利用の促進である。災害廃棄物は資源と

して有用なものも多く含まれているため、リサイクル

や再利用を行うことで、環境負荷の低減や経済効果の

向上が期待される。しかし、現状では、リサイクルや

再利用に適した技術や設備が不足しているほか、品質

基準や市場形成などの制度的な課題も存在する。

汚泥の特性と再資源化技術

令和元年度資源工学Ⅱ-1-3

 工場排水の処理に伴って発生する汚泥は、大きく分

けて有機汚泥と無機汚泥の二種類がある。有機汚泥は、

食品工場などから排出される有機物を含む汚泥であり、

無機汚泥は、土木工事現場や金属工場などから排出さ

れる砂や金属成分を含む汚泥である。これらの汚泥は、

廃棄物処理法に基づいて適切に処理しなければならな

いが、一部の汚泥は再資源化することが可能である。
 再資源化する技術の一つとして、セメント原料化が

挙げられる。セメント原料化とは、無機汚泥をセメン

トの原燃料として利用する技術である。無機汚泥には、

鉄やアルミニウムなどの金属成分が含まれており、こ

れらはセメントの主要成分である酸化カルシウムや酸

化ケイ素と反応してクリンカーと呼ばれる固まりを形

成する。クリンカーは粉砕してセメントとなるため、

無機汚泥はセメント原料として有効利用できる。
 セメント原料化の留意点は、まず、無機汚泥に含ま

れる重金属や有害物質がセメントに混入しないように

する必要がある。これらの物質は、セメントの品質や

強度に影響を与えたり、環境や人体に害を及ぼしたり

する恐れがあるためである。そのため、無機汚泥をセ

メント原料化する前には、適切な分析や選別を行う必

要がある。また、無機汚泥の供給量や品質にはバラツ

キがあり、セメント製造における安定的な原料確保が

難しい。そのため、無機汚泥をセメント原料化する際

には、他の原料との適切な配合や調整が必要である。

フィルタープレス(令和4年度Ⅱ-1-4)

 フィルタープレスは、加圧ろ過装置の一種で、圧力

をかけて濾過することで、固形物を分離する脱水設備

の一つである。 他の脱水設備に比べ、処理量が多く、

脱水効率が高いことが特徴である。 また、フィルター

プレスは、濾過後の固形物を容易に取り出すことが

できるため、後処理が容易であり、環境負荷が小さ

いことも利点の一つである。


 留意点としては、フィルタープレスは、処理水の
pH

や濃度によっては、目詰まりや濾過不良を起こすこと

がある。 また、フィルタープレスによる脱水処理は、

固形物の種類や粒度によっては適用できない場合が

あるため、事前に確認する必要がある。

フィルタープレス フローシート

 

参考

1)フィルタープレスについて|ろ過の方法・種類、フィルタープレスの取扱・フロー・構造、ろ液回収・ケーキ洗浄方法を3つご紹介 | 日本濾過装置株式会社

泡沫浮選

泡沫浮選法は、微粉砕した鉱石を懸濁したパルプ中に浮選剤を添加して空気を吹き込み、大量の気泡を発生させます。気泡に目的鉱物粒子のみが選択的に付着し、上昇し、パルプ表面に泡沫を形成します。その泡沫を回収して目的鉱物を選別します。比重差が小さい場合でも有効であり、非金属鉱物にも適用されます。環境負荷が小さいため、現在では主流の選鉱法の一つとなっています。

泡沫浮選法の特徴は、比重差が小さい場合でも有効であることです。また、非金属鉱物にも適用されるため、幅広い鉱物に対応できます。さらに、環境負荷が小さいため、現在では主流の選鉱法の一つとなっています。

留意点としては、泡沫浮選法は、微粉砕した鉱石を懸濁したパルプ中に浮選剤を添加するため、微粉砕工程が必要であることです。また、浮選剤の種類や添加量によっては、処理水中に残留することがあります。

プラ資源循環促進法の可決成立

プラ資源循環促進法が2021年6月4日に可決、成立されました。この法律について説明していきます

 

 

プラ資源循環促進について

 製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じます。

成立の背景

 海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機と
して、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっています。
 このため、多様な物品に使用されているプラスチックに関し、包括的に資源循環体制を強化する必要があります。

 

主な措置内容

基本方針の策定と個別の措置事項に分類されます。

 

基本方針の策定

プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するため、以下の事項等に関する基本方針を策定する。

  1. プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計
  2. ワンウェイプラスチックの使用の合理化
  3.  プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化

 

個別の措置事項

 

設計・製造、販売・提供、そして排出・回収・リサイクルの各段階においてそれぞれ個別の措置事項が定められています。

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参考資料

経済産業省HP:meti.go.jp/press/2020/03/20210309004/20210309004-1.pdf

 

 

 

ではまた。