リサイクル・マガジン

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汚泥の特性と再資源化技術

令和元年度資源工学Ⅱ-1-3

 工場排水の処理に伴って発生する汚泥は、大きく分

けて有機汚泥と無機汚泥の二種類がある。有機汚泥は、

食品工場などから排出される有機物を含む汚泥であり、

無機汚泥は、土木工事現場や金属工場などから排出さ

れる砂や金属成分を含む汚泥である。これらの汚泥は、

廃棄物処理法に基づいて適切に処理しなければならな

いが、一部の汚泥は再資源化することが可能である。
 再資源化する技術の一つとして、セメント原料化が

挙げられる。セメント原料化とは、無機汚泥をセメン

トの原燃料として利用する技術である。無機汚泥には、

鉄やアルミニウムなどの金属成分が含まれており、こ

れらはセメントの主要成分である酸化カルシウムや酸

化ケイ素と反応してクリンカーと呼ばれる固まりを形

成する。クリンカーは粉砕してセメントとなるため、

無機汚泥はセメント原料として有効利用できる。
 セメント原料化の留意点は、まず、無機汚泥に含ま

れる重金属や有害物質がセメントに混入しないように

する必要がある。これらの物質は、セメントの品質や

強度に影響を与えたり、環境や人体に害を及ぼしたり

する恐れがあるためである。そのため、無機汚泥をセ

メント原料化する前には、適切な分析や選別を行う必

要がある。また、無機汚泥の供給量や品質にはバラツ

キがあり、セメント製造における安定的な原料確保が

難しい。そのため、無機汚泥をセメント原料化する際

には、他の原料との適切な配合や調整が必要である。