汚泥の特性と再資源化技術
工場排水の処理に伴って発生する汚泥は、大きく分
食品工場などから排出される有機物を含む汚泥であり、
無機汚泥は、土木工事現場や金属工場などから排出さ
れる砂や金属成分を含む汚泥である。これらの汚泥は、
廃棄物処理法に基づいて適切に処理しなければならな
いが、一部の汚泥は再資源化することが可能である。
再資源化する技術の一つとして、セメント原料化が
挙げられる。セメント原料化とは、無機汚泥をセメン
トの原燃料として利用する技術である。無機汚泥には、
鉄やアルミニウムなどの金属成分が含まれており、こ
れらはセメントの主要成分である酸化カルシウムや酸
化ケイ素と反応してクリンカーと呼ばれる固まりを形
成する。クリンカーは粉砕してセメントとなるため、
無機汚泥はセメント原料として有効利用できる。
セメント原料化の留意点は、まず、無機汚泥に含ま
れる重金属や有害物質がセメントに混入しないように
する必要がある。これらの物質は、セメントの品質や
強度に影響を与えたり、環境や人体に害を及ぼしたり
する恐れがあるためである。そのため、無機汚泥をセ
メント原料化する前には、適切な分析や選別を行う必
要がある。また、無機汚泥の供給量や品質にはバラツ
キがあり、セメント製造における安定的な原料確保が
難しい。そのため、無機汚泥をセメント原料化する際
には、他の原料との適切な配合や調整が必要である。