災害廃棄物について(令和2年度8-2資源循環及び環境浄化Ⅱー1-4)
災害廃棄物とは、地震や洪水、火山噴火などの自然
災害によって発生した廃棄物のことである。災害廃棄
物の特徴は、発生量が多く、種類が多様なことである。
例えば、東日本大震災では約2,000万トンの災害廃棄物
が発生したと推定されている。また、災害廃棄物には、
木材やコンクリートなどの建築廃材や家具などの生活
廃棄物のほかに、土砂やがれきなどの土木廃材や、放
射性物質や有害物質を含む特殊廃棄物も含まれる。
災害廃棄物を処理する上での課題は、以下のように
挙げられる。まず、①災害廃棄物の分別や仮置き場所
の確保が困難であることである。災害発生直後は、救
助活動やライフラインの復旧が優先されるため、災害
廃棄物の分別や仮置き場所の確保に十分な人員や資機
材が割けないことが多い。次に、②災害廃棄物の最終
処分場所の不足である。災害廃棄物は通常の産業廃棄
物や一般廃棄物と比べて発生量が桁違いに多いため、
既存の最終処分場では収容しきれないことが多い。そ
のため、新たな最終処分場を造成する必要があるが、
その場所選定や環境影響評価には時間とコストがかか
る。さらに、最終処分場の受け入れに対する地元住民
の反対も強いことが多い。最後に、③災害廃棄物のリ
サイクルや再利用の促進である。災害廃棄物は資源と
して有用なものも多く含まれているため、リサイクル
や再利用を行うことで、環境負荷の低減や経済効果の
向上が期待される。しかし、現状では、リサイクルや
再利用に適した技術や設備が不足しているほか、品質
基準や市場形成などの制度的な課題も存在する。